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電力業界のしくみ

我が国の電力業界は、10社が10の地域で電力を供給しています。地域ごとに、発電から送電、配電まで、一貫したサービスを提供しています。

 10社とは、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力です。最大規模は東京電力、最小規模は沖縄電力です。

 地域ごとに電力を供給する体制ができたのは、戦後のことで、沖縄電力を除く9社は1951年に設立されました。それ以前は、日本発送電という全国規模の会社が存在していました。

 電力会社の事業の特長は、電気料金が総括原価方式で決められるという点です。お客様が電力会社を選べないかわりに、電気料金は原価をもとに決められるというしくみです。このしくみによって、電気が安定して届けられるように、発電所や送電線などが建設されてきました。
 また、電気料金は、石油危機に大幅に値上げされたことを除けば、値下げの傾向があり、物価の優等生だといえます。
 ただし、円高によって、ドルで比較すると海外の電気料金よりは割高になってしまいましたが。

 電気は基本的に蓄えることができませんから、電力会社は最大需要に応じた発電所を建設しなくてはなりません。そこで、最大電力を下げるために、90年代から季節別・時間帯別料金という料金メニューを導入するようになりました。後に、オール電化料金といったメニューも登場しています。

 太陽光発電の普及のため、余った電力を買い取る「余剰電力購入メニュー」を電力会社が導入したのは、1992年でした。この制度は、電力会社がお客様に電気を販売する料金と同じ価格で、太陽光発電の余った電力を買い取るという制度でした。電力会社にとっては、ボランタリーな活動という面もありましたが、一方で、夏季の最大電力を抑制する効果もありました。

 この制度は現在、固定価格買取制度にとってかわられています。

 お客様は電力会社を選ぶことができないのが原則ですが、現在は契約電力が50kW以上という、たくさん電気を使うお客様(工場や大きなオフィスビル、商業施設など)は、自由に電力会社を選ぶことができるようになり、一部のお客様は、新しく設立された独立系の電力会社から電気を買っています。

 電力業界の今後の課題の一つは、急増する太陽光発電への対応です。政府は、2020年には2800万kW,2030年には5300万kWまで太陽光発電を増やすとしています。これは、住宅用太陽光発電に換算すれば、2020年に約700万軒となります。これだけ導入されると、電力会社の送電線が受け入れきれず、地域によっては電気が余ってしまうことが予想されています。そこで、これに対応するため、電力業界はスマートグリッドとよばれる技術の研究を行っています。

 なお、スマートグリッドはこのほかにも、家電製品の省エネなど、便利な機能が期待されています。

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